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J. Nat. Prod.誌にツツジ科植物から単離された天然物の生合成着想合成に関する論文が掲載されました!


あっという間に、2025年も残すところ2週間ほどになりました。

研究室は修論・卒論・学会発表に向けて慌ただしい毎日です。


さて、Journal of Natural Products 誌に論文が掲載されました!


Bioinspired Chemical Transformations of Grayanotoxin III to Kalmanol, seco -Rhodomollone, and Rhodomolleins XXIII and XXIV


原著論文はこちら


ツツジ科植物には「グラヤノイド」と呼ばれる炭素数20のジテルペノイドに分類される天然分子群が含まれていて、このグラヤノイドがツツジ科植物の毒性の原因にもなっています。

分子構造は非常に複雑で、主に5〜8員環の炭素環が連続的につながった構造をしており、今までに数百種の化合物が発見・構造決定されています。


私たちは、ツツジ科イワナンテン属のハナヒリノキから単離された最も代表的なグラヤノイドである「グラヤノトキシン」を原料に、効率的に炭素骨格を組み換える反応を見出し、別の骨格天然物である「カルマノール」や「ロドモレイン」に短段階で変換することに初めて成功しました。


カルマノールもロドモレインもツツジ科植物から発見された天然物で、前者はホソバアメリカシャクナゲから、後者はレンゲツツジから単離されています。

今回の成果は、これらの骨格が異なる天然物が、植物体内で同じ起源から作られている仮説を化学的に証明したものであり、グラヤノイドの生合成経路(生物体内でつくられる過程)の全貌を解き明かす上でとても有益なものです。


実験に携わったのは、今年3月に修士修了した鶴山大河君と、現在M2の東郷ひなたさんです。

天然のハナヒリノキから抽出された貴重なサンプルを使い、地道な実験を続けて目的を達成しました。

量的に限られたサンプルを使った実験で気を遣ったことと思いますが、きっちりとやり遂げた経験は今後の大きな財産になると信じています。

お疲れさま、そして、おめでとう!


さて、この研究ですが、実は最後に思わぬ壁にぶち当たりました。

過去の文献や予備実験の結果から「問題なく進むだろう」と思っていた反応が、予想外にほとんど進まなかったのです。

僅かな分子構造の違いが反応性に大きく影響する結果を目の当たりにし、仮説を実証することの難しさや、天然物が作り出される自然の摂理を感じました。


最後になりますが、このような面白い研究ができたのは、貴重な天然物をご提供頂いた前任の寺井忠正先生のおかげです。

先日、寺井先生がご在籍だった頃の卒業生がひょっこりと私の研究室に来ました。

その方から「1年中ずっとソックスレーで天然物を抽出していたのをよく覚えている」と伺いました。

そのときのご苦労があったからこそ、この結果があったのだと、寺井先生ならびに当時の学生の皆様に心から感謝いたします。


2025年の締めくくりに研究成果を公表できたことを嬉しく思います。


皆様、良いクリスマス、そして少し早いですが良い新年をお迎えください。



論文の概要図





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