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湖の景色を望む高山小屋

研究内容

最近の研究

  1. キノコに含まれる生物活性分子の網羅的全合成と構造活性相関

  2. 紅藻類から単離された海産含臭素アセトゲニン類の全合成と構造決定

  3. 豊富な天然物を原料とする独創的医薬シード分子の合成

  4. 環境負荷の少ない有機合成手法の開発

湖の風景

ベンジルアルコールからN-保護アニリンおよびアルキルアルコールからカルバモイルアジドへのワンポット変換

ワンポット反応は、複数の工程や構造変換を連続的に実施し、反応式上に表れない精製工程、廃棄物、作業時間などを削減する効率的な合成法です。安価で取扱いが容易なトリクロロイソシアヌル酸と光を組み合わせ、アルコール類から保護アミン類を、途中の精製工程を省略してワンポットで合成する手法を開発しました。本手法を用いて、世界的に使用されている抗認知症薬メマンチン塩酸塩の簡便合成も達成しました。薬効化合物やその原料として有用なアミン類をアルコールから直接合成する手法として応用が期待されます。【オープンアクセス】

EurJOC2023-Abstract
Synthesis2023-Abstract

サンゴハリタケ科のきのこから単離されたゲラニル-レゾルシノール類の全合成

ヤマブシタケやサンゴハリタケなど、ベニタケ目サンゴハリタケ科のきのこに特徴的に含まれるゲラニル-レゾルシノール類の全合成ついてまとめた総説です。過去に発表された天然物を推定生合成経路や構造に基づいて分類し、2021年までの全合成を網羅しました。これらの分子はヤマブシタケの健康増進効果に関わっていると考えられます。【オープンアクセス】

酸化条件における4-メチルテトラヒドロピラン(4-MeTHP)の微量分解物と分解機構

4-MeTHPは近年開発された疎水性エーテル系溶媒であり、安定かつ回収再利用可能な反応溶媒として、工業的な製造プロセスでの活用も期待されています。本論文では、4-MeTHPを酸化剤と処理したときに起こりうる微量分解について、分解物や分解経路を明らかにしました。本研究成果は、高度な不純物分析が必要とされる原薬の製造プロセスなどにエーテル系溶媒を利用したときに役立つと期待できます。【オープンアクセス】

AJOC2021-Abstract
JSynthOrg2021-Abstract

(CPME)および4-メチルテトラヒドロピラン(4-MeTHP)の基本有機化学特性と反応溶媒
としての応用

日本の企業が開発したリサイクル可能な疎水性エーテル系溶媒、CPMEと4-MeTHPの化学安定性、有機反応溶媒としての応用可能性、起こりうる分解経路などについてまとめた総合論文です。

Chem-Station (ケムステ)の紹介記事はこちら

ヘリセノンC−Hおよびその誘導体の全合成,構造訂正および神経細胞保護活性

ヘリセノン類は、抗認知症効果を示す食用キノコであるヤマブシタケの子実体に含まれる成分であり、神経細胞の活性化や保護効果が実験によって確認されています。私たちは、今まで達成されていなかったヘリセノンC, D, E, F, G, Hの初めての化学的全合成に成功しました。また、詳細に反応解析することによって、今まで3-ヒドロキシヘリセノンFと思われていた天然物の構造を、5員環エーテルを含む構造(新たにヘリセノンZと命名)に訂正しました。合成した化合物の神経細胞保護効果を精査し、リノール酸エステルを含む非天然型の分子に強い細胞保護効果があることを発見しました。これらの成果は、ヤマブシタケの生理機能の科学的な理解、ヘリセノン類の実用供給、生合成経路の解明、新規な神経細胞保護物質の創製などに役立つと期待できます。

JOC2021-hericenone.jpg

(+)-イソローレニディフィシンと(−)-ブロムローレニディフィシンの立体制御全合成

JOC2019-Abstract

イソローレニディフィシンとブロムローレニディフィシンは紅藻から単離されたC15-アセトゲニン類であり、部分的に立体構造は判明していたものの、その全容は解明されていませんでした。私たちは、双環性ブロモラクトンのエピ化-環縮小反応を鍵とする立体制御合成法を開発し、これらの天然物の初の全合成に成功しました。天然物の未知の絶対配置についても、最も可能性の高い立体構造を提案しました。本研究の成果は、紅藻に含まれる多様な含臭素化合物の化学合成や構造決定に有益であり、微量成分の生物活性の解明や紅藻の資源活用につながると期待できます。

4-メチルテトラヒドロピラン:有機反応溶媒としての応用

4-メチルテトラヒドロピラン(4-MeTHP)は近年開発された疎水性環状エーテルであり、既存溶媒の代替溶媒となり得る可能性を秘めています。私たちは、4-MeTHPを広範な有機合成反応に利用し、反応溶媒としての潜在力、優位性、短所などを明らかにしました。また、本溶媒のラジカル条件下での微量分解に関して、関連溶媒である2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)やテトラヒドロピラン(THP)とともに、分解物や分解経路を明らかにしました。これらの溶媒に関する基礎的な研究は、特に環境配慮が求められる大規模製造現場において有用であると考えられ、溶媒選択の重要な指針になると思われます。【オープンアクセス】

CAJ2019-Abstract

ヘリセンA−Cとその誘導体の全合成と小胞体ストレス抑制活性

TL2018-Abstract

ヘリセン類はヤマブシタケの子実体に含まれる成分であり、ヤマブシタケの様々な効能に関与していると考えられています。私たちは、ヘリセン類およびその構造類縁体をいくつか合成し、小胞体ストレスに起因する細胞死の抑制活性について調べました。脂肪酸エステルの位置や種類が細胞死の抑制活性(細胞保護効果)に重要であることを見出すとともに、天然物より細胞保護効果の強い分子(ヘリセンB位置異性体)を発見しました。

ステビオシドから(−)-トリプテリフォルディンと(−)-ネオトリプテリフォルディンの合成

ステビオシドは天然甘味料として世界中で使われています。私たちは、光ラジカル反応を用いるC-H官能基化ならびにラクトン化を鍵工程として、ステビオシドから抗HIV複製活性のあるトリプテリフォルディン類を短工程で合成しました。関連天然物であるドイアノテルペンも含め、6つの天然物を体系的に合成しました。本研究成果は、ラクトン環をもつent-カウレン類のみならず、複雑な骨格を持つ医薬リード化合物の実用供給法の開発に有用と考えられます。

JOC2018-Abstract

シクロペンチルメチルエーテル(CPME)を溶媒とするGrignard反応

AJOC2018-Abstract

代表的なC-C結合形成反応であるGrignard反応は、実験室ではTHFやジエチルエーテルを溶媒として実施されますが、工業規模に応用するには、安全面やコスト面に課題があります。私たちは、回収・再利用が可能なシクロペンチルメチルエーテル(CPME)を溶媒とするGrignard反応を検討し、Grignard試薬の効率的な調製法や基質適用範囲を明らかにしました。さらに、CPME溶媒でのGrignard反応を用いて、慢性疼痛治療薬であるトラマドールやホルモン受容体陽性乳癌治療薬であるタモキシフェンを合成しました。【オープンアクセス】

立体特異的環縮小反応を特徴とする、ローレニディフィシンの可能な立体異性体の立体制御合成と(+)-アプリシアレンの形式全合成

紅藻から単離された含臭素アセトゲニン、ローレニディフィシンに関して、可能な立体異性体の一つを全合成するとともに、未知であった天然物の立体配置を提案しました。また、 (+)-アプリシアレンの全合成中間体の合成にも成功しました。立体特異的環縮小反応がビシクロ[3.3.0]オクタン骨格を有する双環性アセトゲニン類の合成に有効であることを実証しました。

JOC2016-Abstract
JOC2014-Abstract

ヤマブシタケ子実体から単離された生物活性レゾルシノール類の体系的全合成:ヘリセノンA, B, I,ヘリセノールB-D,およびエリナセリンA, Bの全合成

ヤマブシタケの子実体から単離された8つのゲラニル-レゾルシノール類を、適切に官能基化されたゲラニルフタリドを共通中間体として網羅的に全合成しました。このうち、ヘリセノンBに関して報告構造の誤りを修正し、またヘリセノールCとDについては、それらがヘリセノールBの分解生成物である可能性を実証しました。

シクロペンチルメチルエーテル(CPME)のラジカル反応溶媒としての性能評価

CPMEは水と混和せず,毒性や引火性も低く,工業利用が可能なエーテル溶剤として注目されていますが,有機合成の溶媒としての利用例はまだ多くはありません。私たちは,CPMEがラジカル付加反応、還元反応、ラジカル反応を含む連続的ワンポット反応などに適用できることを見出しました。さらに、ラジカル条件下でのCPMEの微量分解に関して、分解物や分解経路を明らかにしました。

Tetraderon2013-Abstract

植物生長調節作用をもつヘリセリンの全合成と構造訂正

JOC2012-Abstract

ヤマブシタケの子実体から単離されたヘリセリンは,チャやマツの花粉管発芽生長阻害活性を示すため,農薬のリード化合物などに期待されています。独自の手法で合成したフタリド中間体からヘリセリンを合成し,天然物の誤った報告構造を正しい構造に修正しました。

Oxy-Favorskii転位による双環性置換エーテル類の立体制御合成:コミュニオールEの全合成

JOC2011-Abstract

ハロラクトン化−αブロモ化−オキシFavorskii転位からなる連続的な立体制御反応を用いて,置換基をもつ双環性エーテル類の立体制御合成法を開発しました。以前に開発したラジカルヒドロキシメチル化反応を組み合わせて,コミュニオールEの全合成を達成しました。

臭化銅(II)によるワンポット連続反応を
鍵とするヘリセンAの全合成

Tetrahedron2011Abstract

ヘリセノン類はヤマブシタケの活性成分として注目されており,今までに多くの同類化合物が発見されています。これらの分子に共通するフタリド骨格を,臭化銅(II)によるワンポット連続反応により合成し,代表化合物であるヘリセンAの初の全合成に成功しました。

Acknowledgements

  • (株)日本農薬

  • (株)クラレ

  • (株)福寿製薬

  • (株)日本ゼオン

  • (株)三菱化学技術研究センター及びエーピーアイコーポレーション

〒535-8585 大阪市旭区大宮5−16−1

大阪工業大学工学部応用化学科 (10号館11階)

​​問合せ先:大阪工業大学工学部応用化学科事務室

☎ 06-6954-4268 FAX 06-6957-2135

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