以前の研究
9員環エンジイン抗生物質の全合成と分子認識機構の解明
2000~2005年、東北大学(平間研究室)
不安定な9員環エンジイン骨格を有する抗腫瘍性抗生物質N1999-A2の全合成に初めて成功し,天然物の絶対配置やチオールを引き金とした活性発現機構を明らかにしました。更に,天然物の立体異性体や構造類縁体を効率的に合成し,DNA切断活性の発現に必須の構造因子や分子レベルでのDNA切断機構を解明しました。本合成手法を応用し,肝細胞癌治療薬であるネオカルジノスタチンのアグリコン部の全合成にも成功しました。
海産神経毒シガトキシン類の全合成研究
2000~2005年、東北大学(平間研究室)
シガテラ食中毒の原因物質であるシガトキシンおよびCTX3CのABCDE環部の合成に成功しました。構造多様性のあるシガトキシンとCTX3Cに対して,四環性化合物(ABCD環)を共通中間体とした分岐的な合成戦略を開発しました。
キノコ由来多環式天然物の全合成研究
2005~2009年、大阪府立大学(豊田研究室,柳研究室)
ヤマブシタケから単離された神経成長因子産生促進物質,エリナシンEのCDE環部の立体選択的な合成に成功しました。分子内Pummerer型反応を用いるヒドロイソベンゾフラン骨格の新しい合成法を開発しました。全合成を目指して更なる検討を進めています。
新規なラジカル反応の開発
2005~2009年、大阪府立大学(柳研究室)
一酸化炭素とヒドリド還元剤を用いるヒドロキシメチル化反応を開発しました。光照射下で反応を実施することによって,常圧かつ有害な有機スズ試薬を用いない反応条件を確立しました。本反応を用いてポリケチド天然物の全合成にも成功しました。また,ヒドラジンを脱離基とした新しいコンセプトの環化反応を開発しました。
カルバペネム系医薬品合成中間体の立体選択的な合成
2005~2009年、大阪府立大学(柳研究室)
有機触媒による[4+2]型不斉付加環化反応を用いて,カルバペネム系医薬の鍵合成中間体であるδ-ラクトンのエナンチオ選択的な合成を達成しました。